鉄人28号 第三話 怪ロボット現る

脚本 :今川泰宏 絵コンテ :尾石達也今川泰宏 演出 :尾石達也 作画監督守岡英行
まさか第三話にしてブラックオックスが登場するとは思いもしなかった。しかもネタ的には明らかに黒歴史の如く抹消された「真ゲッター」を復活させようとしているのではないのだろうか?
つまり本作品は存在しなかった本来の今川ゲッターの雪辱戦というべき意味合いを内包した業の深い方向へと向かっているように感じた。
第二話までの正太郎邂逅編も終わり一話完結のエピソードが始まるのかと思いきや,そうでは無かった。全26話という構成を大河ドラマへと昇華させようという努力が見て取れる。
その意気や良し。こっちも最後まで付き合う覚悟は決めている。
不乱拳博士は「ジャイアントロボ」でいうフォーグラー博士の原型だが,流石に声優さんは変更されている。イメージの違い故かそれとも・・・。
今川作品にしては珍しく物語がリアルタイムで進行しているのだが,隠しきれないのは,鉄人計画に留まらず隠された「過去」がまだ存在していることである。
それはおそらく「生命を産み出す」という部分にあるのだと考えている。本来ならば「真ゲッター」における「ゴウ」を通じて描く予定だったのが,ここまで持ち越しにされたのだろう。
未来を手に入れる為には完全なる過去との決別が要求されるという今川理論も健在だ。
ところでオックスに破れた鉄人だが,単に正太郎君の操縦が下手だったという結論では無いと考えている。
つまり二人の正太郎(鉄人×正太郎)には欠けているものがあるから,シンクロしないので無いのか。
それは共に戦う為の理由だったり,二人の息子に父が託した思いだったりするのかもしれない。独自のエネルギー理論を持つ監督のことだから必ずや,その意味を描いてくれると信じて疑わない。