鉄人28号 第七回 悪の手先 鉄人暴れる

見ていて何が良いのかというと,昭和30年代という時代背景を背にして,何が正しくて,何が間違っているのか?この価値基準を作品に刷り込んでいる点である。
明確な答えが最初から明示されているわけでは無くて,視聴者と共に探していくという作りに共感を覚えた。
敗戦国=日本という明確な図式。誰もが将来に対する不安を抱きながらも,戦後から十年という年月が人々をがむしゃらに生きる時代へと押し上げようとする。
そんな時代に戦時中の兵器を道具として活かそうとする人々がいる。主人公=金田正太郎もその一人だ。
彼は自分と同じ名前を持つ鉄人にどう接すればいいのか明らかに戸惑っている。
兵器として作られた鉄人とどう向き合うべきかと(これがクリアされないため第一話=プロローグに見られたシンクロする正太郎と鉄人の描写が出てこない)。
そんな中で起こった操縦器の強奪。物語の焦点は,アメリカマフィアによる鉄人を利用した貴金属の強盗事件にあるのではなく
村雨と正太郎」という立場が違うキャラクターが自らが置かれた状況下で自らが成すべき真理に辿り着くまでの軌跡にある。
登場人物の多くが思惑を持って登場する中,自らが信じる正しき道をどこまで貫けるのか楽しみである。
暴れ回る鉄人の前に姿を現す米国製ロボット。ライトで照らし出される両者。そのカット割りの見事さに感嘆することしきりである。
半壊し崩れ落ちる鉄人のイメージは、そのままギアナ高地で粉砕されたデビルガンダムの図にそっくりである。