鉄人28号 第八回 鉄人28号奪回作戦

影を振り払うかのように少年は自らの意志で前へと踏み出していく。二人の正太郎は共にあることを望み「遺産」は真の力を導き出す。破壊へと誘う「紅」の光は,人を恐れさせるだけの無用の長物。
Gガンダムでシュバルツが封印しようとしたスーパーモードも「紅」だったことは偶然だろうか?
「兵器」「道具」という括りで語られてきた鉄人28号の存在。「良くも悪くもリモコン次第」というのはモノクロ時代の主題歌からの引用だが,答えはそれが正解ではないのだ。
共に歩んでいくことが真なる道だと今川監督は作品を通じて描いていく。スリルサスペンスの脅かしも二人の正太郎の絆をより強くするだけだった。
失うことしか知らない村雨。良かれと思い行動した結果が自らを更に貶めていく。今川イズムは相変わらず徹底されていて分かりやすい表現で描いていく。
語りが多くて地味な印象を否めない作品だが,主たる場面の大半が「夜」ということもその一因だろう。そしてこの暗闇が晴れるときこそ,本当の物語が始まると確信している。