機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第四話=星屑の戦場

前回に引き続き西澤晋氏のコンテが光っている回である。前作でも非常に緻密な描写を見せてくれた西澤氏だけあって本話数も十分にメリハリのある映像を見せてくれた。
スケジュールが有るようには見えないのだが、やたらと動き回るMSやデブリの破片がふんだんに用意されていて戦闘シーンだけを抜いても満足できる作りとなっている。
本作品がSEEDでは無くてガンダムである理由はデブリやらプラントの外壁を多用した戦闘シーンにもあるのだと感じた。遠距離砲撃武装形態であるブラストインパルスガンダムから放たれる大砲の破壊力も絶大。
実践慣れしていないためかシン・アスカルナマリア・ホークが能力的に傑出していないのが妙に気に入った。
前作ではMS同士の撃ち合いやビームサーベルを交えた場面が障害物など存在しないエリアで展開されていたが今回は妙にそこからの脱却を計っているようだ。
新任かつ甘ちゃんであったアークエンジェルマリュー艦長と違い、軍人であり的確な指示を飛ばすミネルヴァのタリア艦長の存在は作品を引き立てるのに重要な位置にいる存在と言える。
前作の終盤から変わってきたのが連なるエピソードで作品全体を見せるという手法である。DESTINY本編を単独で見ても面白いのだが何本か纏めて見るとそれが倍増される。
SAGAと呼ぶのに相応しい作りを見せられて思うのは福田監督以下のスタッフが明らかにSEED世界をどのように作り上げていけば良いか明確な思想が備わっていることである。
前作はその部分が第28話まで描かれているように思えなかったので混乱が見られたが本作は全く問題ない。
ギルバート議長は、何も無理にアスランを戦いに駆り立てているわけでは無い。「自らがやらなけれなならない事から目を背けるな」と言っているだけなのである。
「君はもう分かっているはずだ」と。前作で劇場で再会したラクス・クラインが銃を向けるアスランに突きつけた台詞と同じ意味なのである。
そうそう。アイキャッチの背景を明るい色合いに変更してくれたのは良かった。