AIR 第五話 つばさ〜wing〜

脚本:志茂文彦 絵コンテ:山本 寛 演出:山本 寛 作画監督池田和美
前話の作画はテイストが違っていてう〜んという印象が強かったが本話数では違っていた。これだ。この高い密度の作画こそが本TVシリーズの魅力となっている。俗に言う神レベルとはこのことを言うのだろう。
さて美凪&みちるが主たる物語の中心に存在している。Aパートは行間が全く無いので展開が速くて付いていくのがやっとの印象。だがBパートからは、かなり印象が変わる。
母親と娘。そして産まれてくるのを許されなかった妹の物語が少しずつその全容が明らかにされていく。
美凪篇と言いながらも観鈴の描写も平行して用意されている。その中でも強烈に印象を残す場面がある。それが往人の前で観鈴が癇癪を起こすシーンである。
観鈴が往人とトランプする場面であるが、突然起こる描写がこれが実に生々しい。
顔を伏せる観鈴のリアルな作画。俯瞰で見た素晴らしい作画の妙。声優さんの素晴らしい演技。
シーンを淡々と並べていく手法ながら、それが積み重なることで世界を創り出していく。翌日、観鈴が端から見て何故、変わっているように見えるのかが本人の口から語られる。
何故、友達が一人もいないでトランプ遊びに耽っているのか。物語の真相を知っている者にはそれが悲しい独白に思える。
同時に存在する美凪と母親の物語。観鈴篇と同居する形で描かれる美凪篇が全く持って力負けしていないのは演出的に凄いことである。
Bパートから怒濤のように描かれていく物語の本論を前にして作品が全く壊れない。いや返って加速度的に自己主張していくようにさえ思える。これこそがTV版AIRの最大の魅力であると改めて気づいた次第である。
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