機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第32話 ステラ

前回に引き続き中村プロの高密度の作画が強い印象を与える。ステラの最後は、キャラデザの平井氏が作画を担当し花を添えた(前作におけるフレイを思い起こさせる)。
さて最大のポイントはデストロイを止めるためにシンでは無くてキラが手を下すという点にある。
シンとキラとの直接対決は、もはや避けられない事態でありそれに向けて一気に突き進んでいくようだ。全ては偶然ではなく定められた対決という描写も作為的で面白い。
それにしてもステラを救うためにシンが選択する行為には相変わらず驚かされる。最終的に何もしないという事がどのような結果を生み出すかをシンには見えていない。
痛みを知っているはずのシンが目先の物にしか意識が向いていないというのは現実から逃げているという裏返しなのだろうか?
脚本家が変われば表現も変わる。コンテも同様である。前回の巧みな見せ方の方が個人的には好みだが圧倒的な作画に頼った本話数も悪くない。
スケジュールの限界を超えたメカ戦の描写には本当に驚かされる。オクレのカオス。そしてネオのウィンダムの描写が本編を通じておまけ程度だったのは残念。
敵軍としてのネオは、まさかこれで見納めになってしまうのだろうか?
更にステラの死を通じて劇的に変わるはずのシンがますます崩壊していきそうで、この点は非常に興味がある。
表側の主人公=キラ・ヤマト。裏側の主人公=シン・アスカ。二人を通じて世界の在り方を視聴者に委ねる作りはリトマス試験紙のようで面白い。
そろそろ本論が始まるわけであるが加速度的に展開が早くなるのは前作SEEDでも同様でありその点は全て作り手の思惑通りといったところであろうか。
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