マブラヴ オルタネイティブ

第7章終了。信念とは己の胸に刻んでおけばわざわざ言葉に出したり、再確認するものでは無いと筆者は考える。
確かに人はそれぞれだ。そうでは無い者もおろう。この物語の主人公である白銀武の場合はどうであったろうか?
前の世界で終わりを見たという彼は、同じ歴史を繰り返さないという信念に支配され必要以上に囚われていたように思える。
それはそれで構わないのだが、それが理性的な行動を選択させるのでは無く、返って直情的な発言に走らせるという描写に引っかかった。
何故そのように描くのか?これは筆者の中で「違和感」としてオルタ開始当初から感じられていたのだが、それに対する答がしっかりと第7章で与えられていた。
信念を持ち合わせていないが故に言葉のみを盛んに連呼し続けたのではないかという疑念が証明されたのである。
前の世界でオルタ5発動後、衛士として世界の終わりを見届けたという言う割には記憶も定かではなく、後方配備で実戦経験も無かったように思える。その彼が一体、何を見たと言うのだ。
軍人としての強さも誇りも無くまるで新兵のように弱さを全面に出して描かれる武は正しく素人そのものだった。
誰が悪いというわけでは無い。訪れる過酷な現実。その根元を武だけに負わせるのも酷であろう。だが後戻りは許されてはいない。
武は、堂々巡りを続けながら成長していくのだが、それを綺麗に描くのではなくて現実として突きつけるシナリオに感嘆した。
逃げる場所など何処にも無いのだ。