清水崇監督作品 「輪廻」

やっと見ました。映画「稀人」とは言いませんが「呪怨」の様に一般受けする内容ではありませんのでした。
サスペンスと聞いていたが真っ赤な嘘。作品自体は、ホラーそのものである。
時と空間を越える清水演出は本作品においても相変わらず継承されている。カメラワーク、音楽、効果音が傑出していて才気溢れる演出が見所である。
だがラストまで見ると非常に後味の悪い作品となっている。「呪怨」もそうなのだが終わることのないノロイや怨念が未来永劫続いていく思想が健在なためである。
犯罪を犯した者は転生しても消えることなく償なわなければならない罪なのか?その点が非常に気になり監督の思想に当初は激怒した。
・・・だが考えてみると前世における被害者は転生しているのも関わらず皆、謎の死を迎えてしまっているのを思い出した。FILMを見る限り前世の自分の怨念に取り憑かれて死を迎えているのだ。
これは「呪怨」同様、殺された怨は消えることなく世界に存在している証明である。それが更なる怨を産み出していく。何故そうなるのか?答は相変わらず明示されていない。だが想像することは可能である。
大学教授=大森は実験を行っていた。それは医学の範疇を越え肉体と魂の関わりを追求するものだった。
その思想が11人の殺戮へと繋がったのだが、それこそ被害者の魂を未来永劫、縛り付ける行為に他ならなかったのではないか?
そのため被害者は転生した世界においても同じように死という運命から逃れられない。輪廻を繰り返そうとも解放されることは出来ないのである。
最後まで一貫して被害者として描かれた優香に全ての罪が降りかかるラストは一見すると非常に辛く感じざるをえない場面となっている。
だが被害者は何度、生まれ変わろうとも逃れられない。解放されることの無い被害者の怨は、時も空間も越え魂を縛り付ける。これこそが本作品で描かれた真の怖さに他ならない。
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