劇場版 鉄人28号 白昼の残月

starwind2007-03-31

ついにこの日が来ました。そう。待望の劇場版=鉄人28号 白昼の残月の劇場公開日です。
筆者も待ちに待ちきれず早速、初回に見てきました。都内唯一の劇場である新宿武蔵野館には朝早くから列が出来るほどの人々が集結していました。
元々収容人員がさほど多くない劇場だけあって初回は立ち見が出るほどの客の入りとなりました。
そこそこ早く行ったのですが先着100人に貰えるというグッズは既に消えていました。まぁ目的は映画そのものでしたら別によいのですが・・・。
さて、肝心のできばえですが短い尺ながら巧く構成された手堅い作品に仕上がっていました。
TV版を完走した今川泰宏及び鉄人ファンならば問題ないですが、一見さんには非常に荷の重い作品と言えるでしょう。
つまり今回の劇場版は、TV版終了後に同スタッフによりTV版を再構成した内容になっているのです。
そのため「罪と罰」「二人の正太郎」といったTV版で二十六本を使って描かれたテーマが再登場し、複雑怪奇な人間関係と共に語られます。
従って圧倒的な情報量に埋没することは必至で、昭和三十年代という時代背景すらも知らずに単なるロボットアニメを見に行った方は見事に置いて行かれます。
作品鑑賞終了後に明らかにそのような状況に陥ってしまっている女性数人のグループを見かけました。
そのような方にとっては本作品は評価に値しないのかも知れませんが今川フリークであり、
氏の作品を作品をデビュー当時から追いかけている者にとっては本作品ですら心地よい作品の一本なのです。
何故ならこれこそさえも私が夢見ていた「瞬間」であったからです。娯楽である鉄人の物語は誰にでも作れるのかも知れません。
だが、昭和の戦後と日本人という難しいテーマに真っ正面から取り組んだ鉄人は今川監督にしか作れません。
「良い」「悪い」ではなくて此処にある世界はそれを体現させてくれた一本なのです。
相変わらず予算はふんだんには出てはいないようですが劇場版という事もありTVよりは遙かに絵が動きます。
止めでストレスが溜まったTV版とは違いある程度、その呪縛から解放された作画は良く頑張ったと思います。
千住明氏から伊福部昭氏にバトンタッチされ昭和の息吹がより深く表現された音楽も強い印象を与えます。
そうそう。気になった点が二点ほど。正太郎の父役である飯塚昭三氏が不参加であること。それとブラックオックスが未登場なこと。
如何なる事情があったのかは不明だが残念です(オックスはベラネードのロボットでは納得できないかもしれないが)。
http://www.tetsujin28-movie.com/

劇場版「鉄人28号 白昼の残月」オリジナルサウンドトラック

劇場版「鉄人28号 白昼の残月」オリジナルサウンドトラック