そして明日の世界より―― 青葉ルート完了

青葉ルート終了。練られたシナリオは登場キャラクターの内面をえぐり取るように描写させていく。擦れ違っていく主人公と青葉の心を、このシナリオライターは類い希な才能を駆使して描いていく事に成功している。
敢えて痛い描写を展開させていく辺りに作り手の作為的な思いが見られるが決して二人の思いが報われないわけでは無いので最終的に何となく納得してしまうプレイヤーは多いのでないだろうか?
作り手の巧みさは目の前に見えている姿だけがキャラクターの本質を表現してる訳では無いという事だ。プレイヤーは主人公と等しい視点で疑似体験することによりその点をより深く理解することが可能となっている。
だが本作品の全てのシナリオが安易な着地点から逸脱させるために二人に更なる試練を課せている。それこそが鬱になる描写なのだが現実世界と違って拗れて壊れてしまった二人の感情を掬い上げられる糸を用意している。基本設定からして世界が滅びる3ヶ月前という特殊設定故か世界観及び物語に穴になりそうな部分は当初から塞がれている。
納得出来るであろう物語の落としどころを最後に用意しているのは名作に相応しい作品と呼ばれる所以であろう。
青葉の強さと弱さ。そして同一人物でありながら存在する三人の青葉。その目まぐるしく変化する表情と髪型に秘められた思いこそが最大の収穫だった。その意味に主人公=葦野 昴が最後で気付けたこそが奇跡だったのもしれない。
『そして明日の世界よりー』応援中です!