CLANNAD -クラナド- その十一 「本編=AFTER STORY パート2」

かなり遅くなりましたがクリアしました。CGも100%なったので終わったと思います。
麻枝准氏が昔から執拗にゲーム内で語っていた思いの集大成と呼ぶべき内容となってしました。圧倒的なテキスト量と作り手が目指した高い目標が噛み合った優良作品だと認識しています。
分かり易さを念頭に置いているのかストレートな手法で物語をじっくりと描いていきます。まるで人の一生を描く如く・・・。

全三週に跨るAFTER STORYに爽快感は感じませんでした。未読はスキップしてしまうだろうし,時を戻す行為さえもゲームの再プレイでは無くデータロードで済んでしまう。
だから,トゥルーエンディングを見終わった感じは別の可能性を見させられている感じで素直に喜べなかった。
ハッピーエンドだからいいだろ!と言われればそうなのだがどうも後味が悪い。口の中に何かが引っ掛かったままの感がする。
どうやら筆者は気づいてしまったらしい。作り手も俺自身もBADエンディングと呼ぶべき一週目における苦痛と痛みを伴う日々の辛さこそが真実であったことに。あの非日常と思える辛い日々こそが現実であったことに。
・・・雪の日。汐と共に約束の場所を目指す朋也。二人の姿をかき消すように雪が積もっていく。朋也と見る側(プレーヤー)が何度と無く一体になった場面の行き着く先がここにある。
「どうしてこんなところにいるのか」と己に問う朋也。・・・やがて訪れる悲劇の結末。
不幸の輪廻が朋也を押しつぶす場面であるが,このバッドエンディングは必須のもので誰も避けられない点に作り手の業の深さをみた。明らかに作り手は,この物語を見させたがっていると。
AFTER STORYを評価するならば,この部分があったからだと断言しよう。
汐が登場してから描かれる朋也の描写並びに生き様は,ゲーム内のどのキャラクターのシナリオよりも思いの籠もったもので個人的に衝撃を受けるものだった。
麻枝准氏にしては珍しく男性を描いた作品なのだが,その弱さと強さを追求した作りに書き手の覚悟というものを見ざるをえませんでした。
同時に極めて現実的な描写からファンタジーという域を越えてしまった。前作=AIRに見られたようなキャラクターの独特の言い回しといったお約束を排除した理由は此処にあったのだと気づいた。
「全ての人にこの物語を託すことを」。おそらくそれが18禁では無く全年齢対象に変更した大きな理由であるのだろう。