機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第10話=父の呪縛

一見すると総集編に見えなくもないが回想場面を多用するのは前回からの手法でもあり、何とか苦しいスケジュールを乗り切ろうとしているのはよく理解できる。
デュランンダル議長とアスラン。そしてミーア・キャンベルの三人の描写のみで構成された物語は、前作においては必要以上に描くことの無かった「理念」について語られる。
何故、憎しみは消えないのか?報復の連鎖はどのようにして始まるのか?
それに突き進んでいった先にある答えをアスランは知っている。だからこそデュランダル議長との会話でも、その思いが激しい言葉として表現されている。同じ思いを議長が共有しえるのは何故か?
その答えはこの時点では用意されていない。描かれているのはアスランの思いを知り、尚且つ、新たなる剣を授けようとする行為のみだ。果たして議長の真意は何処にあるのだろうか?
ミーア・キャンベルである。本話数で異色の存在だったのが彼女である。
ラクス・クラインの影武者である彼女の素性が簡単に明らかになり、彼女の気持ちも具体的に言葉として素直に描かれる。
マクロスかターンエーを連想させるミーアの存在に思わず驚かされた。前作でおそらく皆が予想していたラクスのイメージがそのまま描かれたような彼女の描写は一体どのような目的で用意されたのか?
おそらくカガリルナマリア、ミーア。この三人がアスランへの思いを募らせていくという部分にあるのは予想に難しくない。
DESTINYは非常に重厚な物語であるにも関わらず、こういった要素をしっかりと挿入してくる作り手の手腕は唸らされる。
ところでシンの出番が少ないのは、まだ彼が主人公になり得ていないからである。