機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第11話=選びし道

アスランカガリの二人は互いの立場の違いはありながらも悩み、苦しみながら現実という名の枷に陥ってしまうのが端的に表現されている。
前作が精神的に非常に高い位置を目指していたのとは対照に、本作では理解しやすい形で自らの立場が描かれている。そのため描写がリアルかつ生臭くなっている。
それが余りに直接的なため鼻に付くのではと思割れたが、実際はそうはなってはいない。
緻密に計算されバランスよく配置された作りは見ている者を引き込むだけの勢いがある。
前作に思いが深い筆者にとっては本話数のようにイザークディアッカの出番が用意されていると感慨が深い。作画監督大貫健一氏の描く美麗なキャラクターは、この三人の魅力を更に引き上げてくれる。
それが良く出ていたのがニコルの墓参りの場面である。
この場面で重要なシーンがある。イザークが民間人の船を撃墜した行為。そしてディアッカザフトから離反し敵対勢力に荷担した行為が罪に問われたことである。
OVA「星のはざまで」では,うやむやになってしまった設定が本作ではひっくり返されているのが興味深い。更にデュランダル議長が彼らの罪の免責に絡んでいたことも気になる。
議長の机の端に置かれたチェス盤に象徴されるように人の心を駒のように操るキャラクターで無いことを祈るばかりである。