AIR 第三話 こえ〜whisper〜

脚本:志茂文彦 絵コンテ:武本康弘 演出:武本康弘 作画監督池田晶子
乱れない作画。余裕のある演出。凝った構図。「フルメタル・パニック?ふもっふ」の監督である武本康弘氏の演出回である。
感心したのは間の取り方である。第一&二話は非常に完成度の高い話数であったが矢継ぎ早に物語が展開していくので見づらい面が強かった印象がある。
それに対して本話数は、会話中の行間の取り方が巧みに計算されていて安心して見ることが出来た。会話が途切れた際に虫の声といった環境音が鳴っているのも良い。
観鈴が他にキャラクターと絡むことはゲームにおいては無かった描写である。しかし本アニメでは往人と一緒に居ることもあってそれが修正されている。
佳乃や美凪に絡んでくるのだ。しかし実際の描写に変化は生じていない。何故なら観鈴の存在は、まるで其処に彼女が存在しないかのようにスルーされているからだ。
この点が巧みに思えた。観鈴は自ら必要以上に他人に近づくことはない。だから他者もそれ以上の距離を求めて寄ってくることもしない。
近づき過ぎれば癇癪が起きるだろうし、観鈴自身にそれをさせない臆病さがあるのが見ていて伝わってくる。だから彼女は一人のままであるというのは巧い描き方だと感じた。
矢継ぎ早にエピソードが展開するため佳乃篇は来週には終わりそうだが破綻無く力業で推し進んでいく演出は悪いものではない。だからTV版の評価は良好である。
http://anime.powerbean.jp/AIR/story/story03.html