機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第16話 インド洋の死闘

世界を覆おうとしている影に対抗する位置にアークエンジェルが存在しているのは前作を知っている者には分かりやすい。
それに対してミネルバザフト軍に属する軍艦であり指揮命令系統に組み込まれており独自の行動など取れるわけも無いし,そういった行動をする理由も存在しない。
デュランダル議長は,アスランには自らの判断による行動の自由を。そしてミネルバには前大戦におけるアークエンジェル的な役割を期待するとしていた。
それにも関わらずミネルバには事実上の紛争地域への介入が余儀なくされている。
軍司令本部からの命令と言いながらミネルバの行動を事実上,縛っているのは議長であり,その事が彼の意志が絶対であることを証明している。
それ故に物語がミネルバに移るとアスランやシンといったパイロットクラスの視点に落とされると情報が限定された状態となり展開に緊張感が生まれる。
本話数もその例に該当するのだが如何せん作り手に余裕が無かったりする。
そのため大量に戦闘シーンが用意されているにも関わらず,ただ撃っているだけのように見えてしまったのは残念だ。アスランやシン。そしてミネルバによって撃破した地球軍の30機にも及ぶウィンダム
そしてザフトの拠点であるカーペンタリア基地近くに地球軍の拠点を作っていた(誰にも発見されずに)などという展開が全て嘘っぽく見えてしまうのは仕方のないことなのだろうか?
シン・アスカによる上官に対する反抗的な態度。そして規律の言葉など無縁のように思えるミネルバの描写があるのは何故なのか?これも全てシンの気持ちの苛立ちを描くための手段と考えると分かりやすい。
SEEDの世界は,個人の思いが全てでありそれ以外は必要の無い描写なのだ。
「ゼータ」と似て非なる作品が「SEED DESTINY」と考えると理解が深まる。作品を一般大衆の支持が得られる形で成功を納めるために必要な要素が何かと考えると取るべき道がこれだったわけだ。