AIR 第六話 ほし〜star〜

脚本:志茂文彦 絵コンテ:石原立也 武本康弘 演出:石原立也 作画監督池田晶子
圧倒的な作画の妙。美麗なまでの美術。そして想いの込められた演出とコンテに作り手のこだわりが感じ取れる逸品に仕上がっている。
次回に繋がる観鈴の描写を挿入しつつ美凪&みちるのエピソードをしっかりと描ききったスタッフの頑張りに心から拍手を送りたい。
本話数は、みちるというキャラクターに尽きる。みちるの想い。みちるの願い。その全てを持って一足先にそらに還る。作りは原作通りなのだがアニメという媒体に変化しても、その感動は薄れることは無かった。
美凪。みちる。そしてお母さん。この三人が食卓を囲む場面。みちるの好物のハンバーグをお母さんが出すカット。そして、みちるがお母さんに自分の名前を教えるカット。正に秀悦だ。
ごく当たり前に見られる家庭の光景があった。遠野家の果たされることの無かった些細な願い。それが此処でようやく果たされる。
・・・これを涙なしに見られるであろうか?
名シナリオとして歴史に名を残した美凪&みちる篇が見事に映像化された瞬間である。
最後に待っている辛い別れ。それさえも始まりに変えてしまうほどのみちるの語りが最大の見せ場である。
夕焼け空に染まったそらに一番星が輝きを見せる僅かな時間だけしか残されていないという状況が儚さを深める。
そらにいる女の子とみちる。そして羽とは何か?断片的に繋がりが語られるが、作りとしては飽くまであの場にいる三人がしっかりと前に踏み出すのが目的だ。
だからは別れは悲しくは無い。其処から始まるのだから・・・・。
「そらにいる女の子」という言葉に意図的に観鈴のカットを挿入しているのはどうかと思ったが、これはSUMMER篇を見れば繋がりが分かるので特に問題ないだろう。
最終的に原作同様、美凪とみちるの横顔で終わることからもスタッフの原作に対するこだわりが深く感じられた。ゲームをアニメ化する際に如何にスタッフの愛情が必要なのかを改めて知ったわけです。
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