機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第33話 示される世界

本話数から第2部がスタートする。ギルバート・デュランダル議長、遂に起つ!!以前ミネルバのクルーに語ったブルーコスモスの母体=ロゴスの存在。
これを討つこと。それこそが議長が人々に指し示した道だった。ロゴス打倒という胸に秘められた思いを吐露した議長の目的が真実かどうかは全くの不明。
だが、それがやがてプラントと地球問わず殲滅戦へと飛躍するのは自明の理である。迫り来る戦争の影。ザフトと反連合国が立ち上がってロゴスへと戦いを挑む。
それに対してロゴスは秘蔵していたあらゆる兵器を駆使して戦う。結果は前作の殲滅戦と変わらないのは目に見えている。
ザフト側に正義があろうとも再び手に武器を取り戦うことを決断すれば、それが行き着く先は変わらないのだ。
議長の語った言葉に嘘は見受けられない。議長はナチュラルとコーディネーターとの融和を目指し共存の道を探っている。それこそが戦いを終わらす唯一の道であるからと信じているからである。
敵は秘密結社たるロゴスのみ。これから始まる大戦で多大な犠牲者が出ようとも止めることは無いだろう。破れればその時点で未来が断たれてしまうのだ。
面白いのは高揚したザフト軍や市民と対照的に苦虫を噛み締めるキラの表情である。彼には議長の演説さえも体の良い戦争開始の言い訳にしか聞こえないのだろうか?
アークエンジェルラクス・クラインの存在。すなわち戦いを全面的に回避する術を最後まで取ろうとする彼らは議長にとっては忌むべき存在。
アークエンジェルの存在はミネルバに。そしてラクス・クラインの存在はミーア・キャンベルへと置き換えられればそれで良い。彼を突き動かすのは己の持つ信念である。
それはシャア・アズナブルの頃から変わっていない。
さて議長の行動を異を唱えるアスランやキラ。そしてアークエンジェルの存在こそデュランダル議長。そしてレイ・ザ・バレルの敵そのものである。
それに対抗すべき存在として遺伝子的に適応だったシン・アスカは正にその先兵に相応しい役柄だった。戦い続け切り裂くことでしか自分の場所を見つけられないシンは打って付けの存在だったのだろう。
怒りと悲しみにより新たな力を手に入れたキラとシン。両者が相見えたのは戦場だったのは不幸な状態だ。議長が古から続く人類に課せられた戦いの歴史を終わらす為に全面的な戦いを選択したという事実。
そしてキラが望まないとしても戦うことでしか抗う術を持たないという時点で不幸な物語は更なる不幸へと突き進んでいく。
これこそが「何故、戦いが終わらないのか?」というDESTINYという作品の主旨そのものであるのは皮肉としか言いようがない。