そして明日の世界より―― 夕陽ルート完了

ちょっと前のソフトですがやってみました。美麗な背景画。透明感溢れる音楽。そして魅力的な作画。
そして健速氏のシナリオ。これで期待しない方がどうかしてます。さて実際はどうだったのでしょうか?
基本的に鬱ゲー。物語もほとんど存在しない。あるのはちっぽけな島で暮らす主人公と仲間たちとの二週間の物語。
等しく続く日常に突如、三ヶ月後に小惑星が落下し世界が滅びるとの報道が流れます。タイトル前の前半は日常を淡々と描くのに対して後半はやがて来る世界最後の日を前に揺れ動く少年少女の揺れ動く心理を描くことだけに終始します。
物語的には破滅的な大災害から政府がランダムに選別したという待避シェルターに主人公が一人だけ選ばれる場面が起点となります。とにかくイライラします。ゲーム内での主人公=がんちゃんもそうですがヒロインも感情的に不安定さを増していき行き場のない感情を持て余す事となります。
作り手の狙いはその点にあるようです。擦れ違ってしまった二人の気持ちを再確認させるために障害を設け、それを乗り越えていくという描写に大半が割かれています。
そのため人を選ぶ作品かもしれません。筆者が感じたのは描かれているようで実は描かれていない大人の存在が問題を大きくしていると感じました。
主人公は典型的な男子高校生。両親とも関係は良好。問題は待避シェルターに主人公が選抜された事実を両親が喜ばしい話として考え無しで主人公に話してしまう点にある。
狭い島内での出来事。閉鎖的な人間関係。そしてお隣さんで幼馴染みの夕陽との関係を考えれば余りにも迂闊すぎる。更に主人公のコミュニケーション不足は疑いない物であることを物語自体で知ることとなります。
最終的には個人の気の持ちようというのが落としどころになるのを受け止めるのには寛容な心が必要になるのではないかと思いました。

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